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誰か気付くでしょうか! 以下の文章にはいたずらしてあります。 ま、すぐばれちゃうとは思うんですが。 アスファルトをじっと見ていると、いつでも夏のあの日差しを思い出す。いつだったのかも解らない、微かな記憶を伴って。 上を向いて雲の形について、姉と言い合った小さい頃のこと。 駅のホームで一人、帰りたいのに帰るのが嫌でうずくまっていた日、姉が迎えに来てくれたことも覚えている。 思い出の中の自分はいつだって、姉と私は仲良く、姉は笑っていた。 かつての自分のその映像は、果たしてどこまでが本当なのだろう。きっと都合よく作った部分が多いはずだ。 下らない願望と現実が折り混ざった記憶は美しく、都合よく残酷だ。けれど時が経つほどに、現実とは関係なく、その記憶が真実になってしまう。 こんなにも残酷なことはない、と思った。 最後の曲がり角を曲がって見えた駅にすでに一回り年下の姪は来ていた。 静かに冷たい風に吹かれて、ベンチで本にふけっている。 少し鼻をすすった拍子にこちらに気付いたようだった。 せめて何か温かい飲み物でも勝手来るべきだったかもしれない。 そう思いながら、彼女の元に走った。 多分、彼女は私よりも大分前に来ていることを隠すだろうから。 「遅刻して御免ね。」 「つまんないこと気にしないで良いんで、行きましょう」 手を繋ごうと差し出したら、彼女はおどけた調子でそれを拒んだ。 とっくに冷え切っている手を隠すためじゃない。 涙をこらえるためだろう。 日曜日の今日は、私の十歳上の姉の、彼女の母親の命日だった。 温もりは母親を思い出すのだろう。眠らずに今日を迎えたのか、目の下にくまを作って彼女は微笑んだ。 「飲み物飲んで温まってからでも良いですよ、行くの。」 「はちみつれもんとか、飲みたいねぇ」 酷く落ち着いた仕種で私に同意する彼女は、母親を亡くした高校二年生にはとても見えなかった。 「不思議なものです。下手に母親を亡くして一人きりになってからこそ、本当の有難さが解るなんて。」 「ほんとにね。全く、こんなに早く居なくなるなら、もっと仲良くしておけばよかった。」 皆、姉が好きだった。無意識に彼女がいる場所では彼女を囲むような形になるほどだった。目立つことをとりわけしている訳じゃないのに、何となく気が付くと彼女が中心に居た。 もう一度逢いたい、と思った。 やがて見えてくる墓地を思って、墓前に立つことを思って自然と口を開くことが辛くなった。 緩やかに墓地へと続く坂道を彼女と登りながら、空の青さに涙が滲みそうだった。 横を見ると、彼女は微かに唇をかみ締めていた。 ランドセルが重いと私が泣き言を言ったら、高校の帰りに校門に来てくれた姉。 流産を恐れて、姪を授かってからはやたら慎重に、そしてそのことにとても嬉しそうな姉。 留守番させるのが可哀想と、自分が出かけるときは必ず私を姪のために自分の家に呼んだ姉。 レコードを鞄から取り出し、姪は小さく笑った。 「六枚、あの人のお気に入りを持ってきたの。」 私は小さく頷きながら、小さく今にも震えだしそうな姪の肩を強く抱き寄せていた。 実は。 文頭が全て五十音順になっています。 「あ」から「わ」までです。 文が荒れていて読みにくいのは、ほとんどそのせいですね(笑) |
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