|
雨の日、車内を見回すとちょっと皆疲れている。それはどことなく湿気でくたびれているから、かも知れない。 でも、雨の日に電車やバスに乗るのは嫌いじゃない。 汚いはずの雨粒が煌めいて、見慣れた世界を少しばかり変質させてくれるからだ。 あまりに沢山ありすぎて意味をなさない広告のネオンが綺麗に見える。 無機質なオフィス街がちょっと神秘的に見える。 明るい夜の闇が、ちゃんと暗い。 この水滴に滲む光のように、解るはずのない言葉も溶けだして伝わっていけば良いのに、と思ってしまう。 見落とした大事なサインを、滲んだ光にして運んできてほしい。伝えそびれて忘れ去った言葉を、霞んだ過去からうっすら流しだしてほしい。 どこかで傘を倒した音で我に返る。追憶は限りなく遠い。 雨粒で輪郭を失った世界は僕にあることを呟く。でも其の声に気付かぬふりをして、僕は電車を降りた。 ホームに降り立った僕に、雨は降り注ぐ。 僕もこのまま溶けだしてしまえば良いのに。 と少しだけ思った。 |
| << 前記事(2007/05/30) | トップへ | 後記事(2007/05/31)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|
| << 前記事(2007/05/30) | トップへ | 後記事(2007/05/31)>> |